第1章

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その穴は2時間目にして数学教師に見つかり、塞がれた。 休み時間、ライフは俺とすれ違いざまつぶやいた。 「ライフ・イズ・バット・ア・ドリーム……」 「な、なに」 「人生は夢のようなものという意味……」 「そんな聞こえないくらい小さい声で話すなよ。お、落ち込むな、な」 ライフのライフが限りなくゼロに近い。慣れない早起きもボディーブローのように効いてきているようだ。すりガラスにテープを貼ると見えるようになるという技を教えたらいいだろうか、そんなの彼はすでに知っているだろうか。それとも…… 「ネ、ネバー、ギブアップ!」 俺の声は必要以上に大きかったようだ。 この日から俺のあだ名は「ネバー」になった。
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