第1章

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「これは・・・完全に・・・」 様々な大人達が忙しなく行き交う、関西のとあるオフィス街。その街の、綺麗に舗装されたオシャレな歩道をどれくらい歩いただろうか。 「迷子だ」 最初こそ立ち並ぶビルの壮大さやオシャレな街並みに心躍ったが、秋の涼しい今日にも関わらず、私は汗だくだ。 やはり引きこもりは大人しく家に居ろということなのだろうか。 昔からゲームばかりやっていた。 数年前に大学に入学し、1人暮らしを始めてからオンラインゲームにハマった。そして毎日18時間はゲームに費やし大学を中退したくらいだ。これは最早一種の才能だ、と思いたい。 ゲーム内ランキングの上位勢になった頃、とうとう死刑宣告された。 親からの仕送りを打ち切られたのだ。 そして私は沢山の求人の中から、ゲームの仕事を見付けた。これは天職に違いないと、急いで応募した。最大関門の面接も奇跡的にクリアし、今日が初出社だ。 初日だし余裕を持って早めに家を出た。 出勤前にコーヒーでも一杯やってくかと思っていたが、カフェどころではない。 あと二十分以内に私は職場へ辿り着けるのだろうか。
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