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極寒の地で対峙する私とアグス、周りには何もかもを吹き飛ばすほどの竜巻と強風。海には渦が巻いていて地獄絵図。でもそれを起こしたのは私……私の恨み。
王子やナターシャさん達に当たらない様に考慮はしている。でも邪魔をするなら後は知らない。
これは私の私闘だから。
「面白い、愉しみだ少女よ……うんそうだ、出来れば君の名前を教えてはくれないだろうか? 少女と呼ぶのはいささか失礼に感じてね」
「私……私はセシリア、フェアフィールドですっ!」
「セシリアか、ではセシリアよ、私は遠慮はしない。神の名を持つ少女と共にいた君は私でも油断が出来なさそうだからね。では始めよう」
その言葉が合図だったみたい、なんの躊躇も無くアグスはブレスを吐いて来た。でも私には効かない。私は手を振って竜巻を目の前に置く。ブレスと竜巻はぶつかって激しい衝撃が起こった。ブレスは軌道がそれて海に落ちる。激しいしぶきが上がり海に飲み込まれ竜巻はすぐに再生した。
「これは驚いた、決して手を抜いた攻撃ではない、手を抜くのは命がけの戦いの中で私の流儀に反するからね。ではこれはどうだろう?」
アグスの周りに風が集まり大きな音と共に無数の巨大な鱗が飛んでくる。その速度はとても早くて辛うじて目で追うことが出来る。
「でもねっ!」
私は精神と神経を集中させて自分を中心とした大きな竜巻を作る。
「………………くっ!」
やっぱりマギアちゃんとは才能が違う、私の中の魔力が無くなっていくのが分る。少しでも油断したらきっと気を失う、もっと集中しないと!
「集中っ!!」
両手で両ほほを叩いて気合いを入れる。目の前まで飛んでくる無数の鱗、1枚でも当たったら即死、私はマギアちゃんみたいに回復魔法を使いこなす事は出来ないから。全ての鱗を最小限の動きで避けていく。
「へえ、上手く踊るじゃないか。マギアよりよっぽど合理的で優雅に戦う。彼女は攻撃力が破滅的故に戦いが綺麗じゃない、人間味も無い。一方的な戦い、そここにはなんの学ぶ事は無い。君を殺す気は無いが本気は出している、この戦いで学ぶと良いよ……」
「マギアとの実力の差、そして自分の無力さをね」
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