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「五月蠅いっ! 私は負けませんっ!」
絶対に倒すっ!!
「……凄い」
2人が戦っている遥か下の地上、そこには無数の竜とナターシャ達がいた。彼女たちはマギアを探しんながら二人の戦いを見ていた。見ている事しか出来なかった。
「自分で起こした竜巻でアグスの鱗の軌道をずらして最低限の移動で避けている。しかもその最低限の移動の中で少しずつ近づいている……」
「ナターシャ、セシリアはあんなに戦えたのか!?」
驚きを隠せないフリーダは思わず声を荒げてナターシャに聞くが、
「………………たぶん今のセシリアちゃんには私じゃ太刀打ちできない……」
一番驚いたのはナターシャだった。冷静に分析こそ出来はしているがその体が震えているのは決して寒さのせいだけでは無かった。
「驚かされたよ、人間がここまで戦えるとは思わないからね。ここまで避けられるとは。でもそろそろギブアップとはいかないかい?」
「ハァ……ハァ……これはマギアちゃんの弔い合戦ですからね、簡単にギブアップは出来ませんよ」
頭を高速回転させて鱗を避ける最低条件をたたき出して避ける。マギアちゃんみたいな溢れる魔力は無いから少しでも無駄遣いなんて出来ない。
だから全ての鱗を避けるなんて不可能だ。体には無数の切り傷、体から溢れた血はその寒さですぐに凍りつき肌に張り付く。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……。
少し動かすだけで激痛が走る、敵に隙を与えたくなんて無いけどこの激痛で顔が歪む。回復魔法も最低限でかけているが、とてもじゃないが追いつかない。我慢できないほどの痛みとこの寒さ、けれどもその二重苦で辛うじて意識をはっきりと保つことが出来そう。大丈夫、まだ戦える!
「いっけー!!!」
展開していた竜巻の1つをアグスにぶつける。効かない事は今までの戦いで百も承知、だけどそれでアグスの視界を3秒だけ奪う事が出来る、そしてその間は鱗のホーミング性能が無くなることもこの戦いで分った。だから、
「効かない事は承知で、か……何を考えているのかな?」
「………………」
私は鱗の1枚に身を隠した。
やっぱり、私が身を隠したら鱗の動きは止まった。
「へえ、私の鱗にでも隠れたのかな? 本当に頭が良いようだ」
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