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エイプルさん...具合悪そうだったな
「大丈夫なの?エイプルさん」
思わずそう言いながらフィックスを見るけど、フィックスは眉間にしわを寄せて食事の準備を始めた
私は無言でそれを手伝いながら、思わずいつエイプルさんが戻るのかとそわそわしてしまった
丁度準備が出来た頃、エイプルさんはまたゆっくりとした足取りで戻ってきた
テーブルにある食事を見ると、エイプルさんは驚いたように私とフィックスを交互にみやった
「....悪い、準備させて。ホントはちゃんと手伝えれば」
「いいんだ、今は無理すんな」
フィックスはエイプルさんの言葉を遮ってそう言うと、座って立ったままの彼女を見上げた
「...座れ、んで食え。食えるだけでいいから」
優しい声音だった
私が昔具合を悪くした時も、こんな感じだった
でも今じゃそれは私に向けられたものじゃない
「あぁ」
エイプルさんは素直にゆっくりと、座った
私はここにいるべきじゃないのだろう
何故かぼんやりとそう感じて、私は下に降りようとした
「リエティ」
はっきりとしない、でもまるでハッとしたような声で、エイプルさんが私の名を呼んだ
驚いて振り返れば、優しく笑ったエイプルさんがいた
そんな顔、初めて見た
「しばらく居座る、すまないな、フィックスを借りるよ」
そんなこと、言われるなんて思ってなかった
変なもやもやを感じていた自分が恥ずかしくなった
だからそれを誤魔化すように、思わず口早に返す
「そんな!ゆっくりしてってください!私が言うのもなんだけど...」
そして録に視線も合わせず、まるで逃げるみたいに私は階段を駆け下りた
下にはジェイとシグ
彼らは何か話していたようだけど、私に驚いたのか二人同時に私を見た
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