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しばらくしてマスターが食事を運んできてくれた 注文なんてしてないのに、だ まぁ声を聞いてるんだろうな 店内には今俺たちしかいないわけだし しかしなんでここは毎度客が少ないのだろう どうやって生計をたててる?俺は好きなんだけどなぁここ 運ばれてきたサンドイッチを見て、エイプルの顔がほころんだ それを見て、つられるように俺も笑う 「ありがとうマスター」 「ごゆっくり」 身だしなみの整った品のいい初老のマスターは、そう言いながらニコリと笑ってカウンターへともどる 「いただきます」 リエティはそう言って行儀よく両手を合わせて食事を始めた 思わず、それを眺める 昔はエイプルとこんなふうに向かい合って食事をしていた いつからだろう、あいつと向かい合わなくなったのは 向かい合ったとしても、数メートルは離れた机の端と端 味気ない食事になったのは、いつからだったか ...あぁ、あの時からか 俺があいつに、兄のウィズを殺したと言った日からか 思わず、眉間にしわが寄る あれ以来、順調だった関係は全て変わった 俺が作り上げようとしていた、望んだ未来は歪んでしまった 俺が望んだのはあいつと笑い合って、あいつがウィズから開放されて 二人で笑い合って生活していくものだった でも、あいつに「兄は今、何をしている」としつこく聞かれたとき いつまでも兄という存在に、ウィズにこだわるあいつに、つい嫌気がさして言ってしまった ウィズは俺が殺した、もう安心していい、と それ以来、あいつは俺に無関心になった いや、逆か 俺を殺そうとするようになったってことは しかも毒を使って あいつ自身を苦しめ続けている毒を使って ウィズの手によって、苦しめられているモノを使って
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