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でも俺はウィズが許せなかった それは多分、俺も親父の手によって実験の道具にされていたからだ 親父を憎むより、他人を憎む方が楽だったっていうのもあるかもしれない あの光景を見た時から、憎む気持ちは殺意に変わった そんなある日、親父は実験の事故で死んだ フィックスの親父さんと、あいつまで巻き込んで 俺に残ったのは莫大な金と、真っ黒になった館と、地下で無事だった、未完成のアナだった あの時のことはよく覚えていない ただ無我夢中で生きていくことに必死だったから でもある日、余裕が出来たとき 俺は思ってしまった 親父がいなくても生きていける 俺が辛い思いをしなくてすむ 俺は解放されたんだ、と その次の考えついたことは、今でもなんでそうなったのかは理解できない でも、それを俺は実行した 何の疑問も持たず 躊躇もせず 誰にも意見を聞かず ウィズを殺しに向かった エイプルも俺みたいに、開放してやろうと思って 完成したアナを連れて エイプルのことを助けたいと強く願っていた奴らの力も利用して 利用できるものは全部利用して、ウィズを殺して、あそこからエイプルを連れ出した ウィズは館で実験中に事故を起こして暫く会えないから、お前をその間預かるよう頼まれた そんな嘘をついてまで
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