イアルディア

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ここはーー何処だ? 暫く経って、瞼をゆっくりと持ち上げる。目に入ってくる風景を必死に否定しようと足掻くが、瞳に飛び込んでくるのは鮮やかな緑と空の青色だけ。見知らぬ景色だけがただただ広がっていた。 「晶ッ、皆ッ!」 思わず声を張り上げる。 だって、おかしいじゃないか。ついさっきまで僕は確かに学校にいて、3年4組の戸の前にいて、晶が僕の手を引いて、戸の向こうには……。 「本当、何処……だよ」 幼馴染の少年の姿も、友達の姿も、それどころか慣れ親しんだ机と椅子が並んだ風景もないのだ。だだっ広い草原に1人だけ。 僕は下唇を強く噛んだ。泣いてる暇があったら戻るために考えるべきだ。ここが何処か、何故僕だけがここに来てしまったのか。泣いては、だめだ。 それ以上じっとしていることが、僕にはできなかった。 寂しさと、わけの分からなさと、えもいえぬ恐怖とで、呑み込まれてしまいそうだった。大声で泣いてしまいたかった。 泣いたって、どうにもならないのに。 ーーチリン。 僕が立ち上がったのと同時に、微かな鈴の音が響いた。風と、葉擦れの音だけの草原だったから、無機質なその音はよく浸透した。 咄嗟に振り返るが、僕の周りには誰もいない。 「……気のせい、なの?」 声に出して問うたが、返答もない。小首を傾げ、前を向きかけてーー固まった。 「……は」 僕の目の前に、鋭利な刃が光っていた。太陽の光をその身に映し、眩いばかりに輝いている。 ゲームだとか、アニメだとかでよく見る西洋の剣だ。刃は潰されていないーーつまり、これは僕の命を刈り取ることができる。 そうする為に、僕に向けられている。 「ひ……ぁ……」 肺から吐き出された空気は、うまく言葉にならなかった。霞む視界で、突きつけられた剣の先を見る。 「……ナニモノ?」 綺麗な銀髪を一つに束ねた影が、ボソリと呟いた。
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