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桜の花びらがヒラヒラと舞い落ち春の霞のかかる朝は、空気までもが桜色に染められたようだった。
公園を抜け道路に沿った一本道を抜けると、霞の向こうにバス停がある。
後ろを振り向いてもまだバスの姿はない。穂花はのんびりとバス停に向かった。
高校を卒業し、装いは制服から私服に変わっている。今日は春を意識して白いリボンのブラウスにサーモンピンクのフレアスカートを着て、更に春とはいえ早朝はまだ肌寒かったので、白いカーディガンを羽織ってみた。
バス停に着くと、先頭に学ランを着た男の子が立っていて、次に中年のおじさんが並んでいた。
10分に一本の割合でくるバス停で見かける顔ぶれは大体決まっていて、時々人が入れ替わるだけだった。
私はいつしかバスを待つ学ランの彼がいる日といない日で、いつも乗るバスの時間に間に合ったのか、間に合わなかったのか、バロメーターの様に彼を確認する様になっていた。
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