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新入生歓迎会で、先輩の研究会発表を見た私は、先輩の勇姿に一目ぼれした。
「俺は、エスパーだ!この能力を後輩に伝えたい。我こそはと思う精鋭たちよ、俺は待っているぞ!」
檀上の上で、高らかに公言する姿はまさに光り輝いていた!私はすっかり見惚れてしまって、その日のうちに、エスパー研究会を訪れ、入会を決めてしまった。
それから、週2回の活動日、授業が終了すると、すぐに部室に足を運んでは、先輩にエスパーとしての手ほどきを受けてはいるんだけど、なかなか進歩しないダメな副会長。
「タコ、お前今日体育の授業で・・そうだな。お前が走っている姿が見える・・・むむむっ」
この日も先輩は、私の頭上に掌を翳していた。
「わかったぞ。膝をすりむいて、保健室に行った。だな・・・」
「そうです!先輩。私、今日一生懸命走ったら、足が絡まって・・・。どうしてわかったんですか!?」
「それは・・な。俺がエスパーだからだ」
「先輩!!すごい!!」
こうやって、先輩は私の行動をピタリと当ててみせる。
例えば、英語の授業で宿題を忘れたこと、体育の授業の内容、それから・・テストの点数まで!
教えてもいないのに、ピタリと数字を言い当てたときは本当に驚いた!
でも、一番驚いたのは、私が先輩を好きになってしまったことを言い当てられた時だ。
先週の活動日、先輩は窓際に立っていた。そして、いつものように私の頭上に手を翳して
「今日は、タコの秘密を言い当てようと思う」
そう高らかと宣言したかと思ったら、急に顔を赤らめ
「お前・・・俺が好きなのか・・」
私の目を真っ直ぐに見据えて呟いた。
私は、本当に驚いてしまった・・わぁ!どうして!?
先輩を好きな気持ちは、親友のカナちゃんにしか言ってないのに!
「はい・・・先輩、私・・」
「待て。これから念を送る・・目をつぶって、俺の胸に手を当ててみろ」
先輩は私の手を握って、自分の胸に私の掌を当てた。
あ・・すごく早い。
先輩の心臓がまるで走った後のように早く打っている。
目をつぶると、その速さは尚更感じられて、私は恥ずかしくなって俯いた。
すると、小さな声で『俺もお前が好きだ』って聞こえた。
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