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翌日、いつもの時間に登校すると、ジャージ姿のマコト先輩を見つけた。
「マコトせんぱ~い!今日は早いんですね?」
私が声を掛けると、先輩は少し疲れた顔をしていたけど、その額は、汗が太陽の光を受けてキラキラしていて、私はまた見惚れてしまった。
「タコ、おはよう」
「マコト先輩、どうしてジャージなんですか?」
「う、うん・・これはな、最近体がなまってな・・まあ、健康管理だ」
マコト先輩のジャージ姿も素敵だ。初めて見るマコト先輩のジャージ姿!
今日もいいことがありそう!
その日から、なぜか毎日ジャージ姿の先輩に遭遇した。
私の『素敵です』って声、読まれちゃったのかも!
私は、毎日先輩の勇姿を堪能することができた。
そして、体育祭当日、つまり私の誕生日。
すっかり見慣れた先輩のジャージ姿だけど、私には誰よりも輝いて見える。
先輩、私エスパーとしての才能はありませんが、どんなに人がいても先輩を見つける才能は有りそうです。
だって先輩はいつだって、私の目の中にいるんだもの!
『プログラムナンバー5番、3年の徒競走が始まります~』アナウンスが流れた。
あぁ~いよいよ、始まる。そして、そして、先輩の徒競走の順番が来たのだ。
私は祈る気持ちで、先輩の勇姿を見つめていた。
ピストルの発射する爆音と共に、先輩が走り出した!
先輩は颯爽と私の目の前を、駆け抜けていった。
あぁ~夢にまで見た・・先輩の駆け抜ける姿・・素敵です。先輩!
でも、先輩はゴールを決めた後、グランドに倒れ込んだ。
「ヘチマ!大丈夫か~!?」周りの生徒たちが、わいわい騒ぎながら先輩を囲んでいた。
そして、学校一大きな体育の先生が、先輩をおんぶして連れて行ってしまった。
唖然とする私に、カナちゃんが私の背中を押した。
「タコ、保健室。ほら、行ってきな!ヘチマ先輩についててあげなよ!」
「う、うん、私・・行ってくる!」
私は急いで保健室に向かった。
保健室に着いたら丁度先生が出てきたところで、様子を聞いたら「大丈夫だ、軽い貧血だから・・あいつ、がんばったよなぁ~」って、すごく優しい顔で笑った。
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