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保健室のベッドに先輩の寝ている姿が見える。
私が近づくと、先輩は私をぼんやり眺めていた。
「タコか・・待て、みなまで言うな」
私の目の前に手を翳して、目を閉じた。
私は溢れる涙を拭うこともできなくて、床に膝をついて先輩の横顔を見た。
「マコト先輩、素敵でした。先輩の駆け抜ける姿が見れて、私、本当に感動して・・・」
先輩は目を開けて、私の涙を親指ですくいながら、苦笑いを浮かべた。
「順位は最下位だったけどな・・・」
私は激しく首を振った。
「素敵でした!」
思わず、私の頬にある先輩の手を握った。
先輩は、私の手ごと自分の方に引き寄せて、私の唇にそっと先輩の唇を合わせた。
「タコ、たんじょうびおめでとう」
先輩が耳元で囁いた。
「先輩はすごいです。ホントにすごいです。
どうして、私の誕生日に一番欲しいものがわかったんですか?
誰にも言ってなかったのに」
嬉しくて涙が止まらない私に、先輩は、はにかみながら微笑んで言った。
「それはな。俺がエスパーだからだ・・・」
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