第一章 始まりのイベント

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最後の一人。 名前も知らない友達のアバター名はアンノウン。なぜか格好はピエロなのに、バイオリンなど装備していた。 職種は調教師。 自分のレベルの半分(アンノウンの場合レベル50なので、最大25)の魔獣を調教し、成功すれば使役できる。 だが、調教の成功率はかなり低く、また自分の半分のレベルのモンスターだと役に立たないので、不人気であるが。 とはいっても拳装備強要職種ほどではない。 速度はアサシンなどの職種に劣り、防御は身代わり人形や穴掘り地蔵などの職種に劣り、攻撃はバケツプリン製造係やドラゴンブレイカーなどの職種に劣る……というか、基本ステータスのすべてが近接最弱なのだ。 板垣紅蓮が拳強要職種筆頭の格闘家を選び、折り返し地点のレベル100まで育てた理由は簡単。 男なら拳で敵を倒してなんぼだ!!……らしい。 つまりいつもの格好つけなのだ。 「ふふふ……お前ら。今日何があるか知ってるな?」 プレイヤー間では『小さな悪鬼』などと呼ばれ畏怖されている北沢仁助改めてアバター名ジンスケの言葉にバーニングは適当な調子で返す。 「そういや『悪竜降臨』『審判の時』『死者の軍勢VS生者の軍勢』『ドクブンバッハ最強決定戦』『異世界の魔女』が開催だったっけなー。どのイベントから攻めるんだ?」 無駄に多いイベントを羅列するバーニングにジンスケは呆れた、それはもう呆れた目を向けた(ようなため息をついた)。 「馬鹿だなー。これだからマザコンは」 「マザコンこそこの世の真理だろうがッ!」 「……へー……」 「飛鳥せ……アスカ。納得しないでくださいっす」 「忘れたのか? 今回王都で処刑イベントが解放されたってことを!!」 処刑イベント。 王都の無駄に広い広場で行われる罪人の斬首である。 基本、『新しい要素』にはそれに関連した隠しイベントやらが潜んでいるものだが……、 「馬鹿はテメーじゃねーか、チビ助」 「どこが!?」 「あのなぁ~」 わざわざ額に手をやり、首を横に振る動作を行って、バーニングは続ける。
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