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煉獄の泉。
レベル175が最低限のモンスターが溢れている、『落ちたら即死』のドロドロとした紫色の泉がそこらに配置されている、即死魔法を使うモンスターが三種類、レベル200でも五秒で死ぬ毒になるブレスを吐く雑魚が広範囲に展開、遠・中・近それぞれで最大ステータスと言われていたモンスターが同時に出る、と完全に殺しにきているステージである。
……これでも上の下くらいのイベントである。
「むぅ」
状況に応じて459パターンの『手順』を持ち、途中で切り替えるなどして多彩な手数を実現するプレイヤーランキング第三位、ドラゴンブレイカーの厳つい金色の鎧の大男、エンペラーは小首を傾げる。
彼と同じで三強の一つ『鳳凰の帝』に属する騎士が疑問を口にする。
「団長? どうかしましたか?」
「おかしい」
「はい?」
「あの小さな怪物ならここの景品目当てに来ると思っていたが……なぜどのイベント会場にも出没しない?」
他のイベントを攻略しているメンバーからもあの小さなアバターの目撃情報は上がってこない(その代わり、とんでもない報告が上がっていたが)。
おかしい。
あの規格外はどこにいるのだ?
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プレイヤー最強といえば三強と呼ばれる騎士団のどれかに属していると思うだろうが、実はそうではない。
フリーランス。
つまりどの騎士団にも属さないプレイヤーの一人がこのゲームの頂点に君臨していた。
職業アマゾネス……の癖にグラマラスな体型をしたアバターの少女。
パーフェクトガールは不機嫌そうに二つ目のイベントの『攻略を終えた』。
……三強の騎士団でも一つを攻略するのに数週間はかかるだろう、と思われていたのに、だ。
「ジンスケ……」
彼は現れない。
正当法をガン無視して特殊武器やスキルを掻っ攫っていくトリッキーなプレイヤー『小さな悪鬼』は現在、何をしているのか、トップランカーの全員がその動向を気にしていた。
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