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「うわー。ものの見事に敵だらけ。どうしよ?」
「なんだなんだ? ビビってんのか、チビ助」
「チビ助言うなっ」
「チビにーチビっつってー何が悪りぃんだー?」
「うるさいマザコン!!」
「自分を産んでくれたお人を敬って何が悪い!?」
「……マザコン、なのかな、それ……?」
「あのー駄弁っている場合じゃなくないですかー!? ぼくたちだけじゃ厳しいんですけどーっ!! アタッカーなしってどんな縛りっすかー!?」
「あの、その、うぅ……」
「ちょっと待っててくれ。このマザコン叩き斬るからさ」
「あァ? 殴り殺すぞ、クソチビがッ!!」
「その~お主ら? 自身の住む世界が魔物溢れるファンタジー世界になったのだぞ? もう少し慌てたりしないのか?」
金髪碧眼の美人さんの台詞に、まさに激突する寸前だった少年たちは改めて周囲を見渡す。
先ほどまで、ここは見慣れた町だった。そんな素朴だが温かみのある町は不気味な木々が生い茂る森と化していて、彼らの周囲には森林系に生息するモンスターが蠢いていた。
「板垣。しばし休戦だ。今はコイツラ蹴散らして、元凶叩き斬って、家に帰るぞ」
「チッ。しゃーねーか。家に帰るまでがゲームだしな」
「それは何か違う気がするぞ、うん」
この『変化』がどこまで進んでいるかは不明。少なくともここら一帯はネットゲーム『アトランティック』のステージに変貌した。
そう。
魔獣なんてものが普通に存在するゲーム空間が現実となったのだ。
加えて言うなら。
ここは現実。ゲームのように死んでも生き返れるような親切設計は存在しない。
すなわち、死ねばそこで終わりということだ。
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