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昼休み。
北沢仁助、板垣紅蓮、安藤飛鳥に幼馴染み。それにあと二人を加えた六人(一人は遠くにいるけど)で屋上で弁当を広げていた。
「ご主人様、さあ今日はピーマンの盛り合わせでございますよ」
「俺の嫌いなもので弁当を埋め尽くすのは嫌がらせだろ、な?」
「ご主人様の健康をご心配してでございますよ。好き嫌いはいけません」
「正論を盾に好き放題してからに」
「ご主人様。さあピーマンですよ。さあさあさあ!!」
「嬉々としてピーマンを押し付けるなーっ!!」
それを爆笑と共に眺める板垣紅蓮、それを微笑ましそうに眺める安藤飛鳥。
そしてそれをおろおろとどうしたものかと困惑した様子で見つめる後輩がいた。
園川達也。
『未確認生物研究会』に所属する安藤飛鳥の後輩である。……『未確認生物研究会』自体部員は二人しかいないのだが。
「あれ放っておいていいんですか? ピーマン口の中から溢れてるっすけど」
「……楽しそう……」
「飛鳥先輩って変わっていますよね」
そんな彼らを遠くの物陰から眺める影が一つ。『声が聞こえるギリギリの距離が安心できる』変な性質のボサボサ頭の少年。
名前すら分かっていないが、確か北沢仁助が連れてきたはずだ。
と、通話状態で彼のスマホと繋いでいる北沢仁助のスマホから声が漏れた(小声なので、彼の声は届かないのだ)。
『あの、その、えぇと、……』
「どうした?」
『ぴ、ぴ、ぴぃ……』
「「「「ぴ?」」」」
幼馴染み以外が何を言うのか待っていると、彼はこう続けた。
『ピーマンは栄養あるから食べたほうがいい』
「馬鹿め! 栄養のためにこんなもの食ったらストレスで早死にするわ!!」
「はいはい早く食べましょうね、ご主人様」
「ちょっ、まっ、ごぶべば!?」
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