転がり落ちた死体

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「深鈴。  なんで、缶コーヒーだ」  車内販売が売りに来るだろ、と言うと、 「だって、あれ、濃いんですもん」 と己の好みを押しつけてくる。  だが、この助手に逆らうと怖いので、はいはい、と流した。  深鈴はコーヒーは飲めないが、缶コーヒーが好きなんだと知っている。  でも、自分だけ飲んでは悪いと思ったので、買ってきてくれたのだろう。 「もう一回、見せてもらってもいいですか?」  そう言われ、事務所に届いた封書を見せる。  その住所のホテルで、これから殺人事件が起きるから止めてみろという内容の手紙だ。  パソコンでプリントアウトされている。  依頼金まで入っていたのだが、この住所、調べてみたら――。 「樹海なんだよな~、此処」
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