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「じゃあ、亮灯。
元気でね」
新幹線のホームまで、志貴は見送りに来ていた。
「うん」
と嬉しそうに亮灯は微笑む。
もうアリバイ作りのために、他人のフリをしなくていいので、遠慮なくベタベタなカップルの別れを演じていた。
それを横目に見ながら、晴比古は、志貴じゃないが、俺がこいつらを殺したい、と思っていた。
「もうお前、一緒に帰らなくていいぞ。
志貴とこのまま、結婚しろよ」
「そうしたいのはやまやまなんですけど。
私、死んだことになっている人間なので、いろいろとややこしいですし。
まあ、こっちに居るだけなら、戸籍は関係ないんですが」
「深鈴の戸籍ももう使えないしな」
と言うと、
「どのみち、深鈴さんの名前で結婚する気はなかったです。
だって、志貴が他の人と結婚するみたいで嫌じゃないですか」
と言う。
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