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ギリギリまで乗らなかったので、席に着いてすぐ、新幹線は発車した。
志貴はいつまでも、それを見送っていたようだった。
振り返り見ている亮灯に、
「本当にいいのか?」
と問うと、亮灯は黙っている。
「お前、あんな男前、放っておいたら、浮気するぞ」
いや、まあ、あの志貴がそんなことするわけないとわかっていたが、ちょっと嫌がらせも兼ねて言ってみる。
亮灯は俯いてしまった。
しまった。
いじめすぎたかな、と思ったとき、顔を上げて亮灯は言った。
「そうですよね、先生。
また制服姿で血まみれの女とか現れたら、志貴、フラフラッと行っちゃうかもしれませんよね」
「どんなフェチだよ……」
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