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(……ここは……?)
どこか遠くで鳴り響く鐘の音が耳に届く。
その音色はありふれた軽やかな音で、以前どこか聞いたような懐かしい気がする…
ぼんやりとした頭で、私は今の状況を考える。
私はどこだかわからない…少なくとも家ではない場所で眠っていたことだけはわかった。
瞼をこすり、身体を起こそうとしたが、私の身体は鉛のように重く、力を込め上体を起こすと、頭がふらつくような気分の悪さを感じた。
(どこなんだ、ここは…)
あたりには何もなかった。
目に映るのは白。
まるで降り積もった雪のように白い風景がどこまでも続いている。
だが、雪山でないことは明らかだった。
少しも寒くはないのだから。
だんだんとはっきりとしてきた意識の中で、私以外には生き物の気配さえないことが気味悪く、私は小さく身震いした。
この場所がどこだかはわからないが、まともな世界ではないことだけは本能が知らせていた。
私は立ち上がった。
座っていた時よりもさらに広がった白い景色に、胸の鼓動が速まった。
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