第1章

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 シズが泣きながらフィンと約束したのは昨日の事。  豪奢な馬車のを囲む人々の中に、シズはいなかった。  その事に落胆している自分にフィンは驚いた。思いの他彼に心を奪われていたようだ。  そんなフィンの心を読んだかのように、フィンの父親は語る。 「気に入った子がいたのかい?」  それにフィンは頷いた。  すると父親は低く笑い、 「ならば、その子を“飼う”かい?」  そこでフィンは、シズには見せた事のない醒めた目で父親を見返した。 「いらないよ。使い古しの玩具は足りている」  会話が途切れる。  そこで、声が聞こえた。
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