第2章 

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「ようやくだ」  王都スフィアにやってきたシズは、遠くに聳え立つ城を見上げた。  あれから王都に行くために、勉強して、勉強して、ある事をして……貴族と平民の通う学校に何とか入る事ができた。  もう一度会うというあの約束を、もしかしたなら彼は忘れているかもしれない。  シズの事など覚えていないかもしれない。  昔のシズと今のシズはどれほど変わっているだろうか。  確かに外で遊ぶ事は少なくなって、標準的な男性としては細い方になった気もする。それに身長もそれほど伸びなかった。  期待はしていないといっては嘘になる。  けれど覚えていないだろうと冷静に考えている自分がいる事にシズは嫌になった。  ただ会えればそれで良い。貴族と平民。仕方の無いことだ。  それでも会いたいとここまで来たのは自分の意志。  だからそれで十分のはず。
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