第2章 

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 そこで、路地から手が伸びて振り払う余裕も無く壁に押し付けられた。  自分よりも背の高い黒いローブを着た男。そのフードから零れ落ちる金糸の髪。そして深い森の緑を宿した瞳。  否が応でもフィンを思い出させる。  だから、判断が遅れた。  その男の体がシズに密着し、顔が近づき唇が触れる。 「んんっ」  キスをされていた。しかも唇を割って舌が入り込もうとする。  初対面でいきなり、というか、こんなキスをシズは知らない。  必死になってむーむー男の体を退けようとして、スリの男達の声がした。  そちらに気を取られた隙に、舌がシズの口の中に入り込む。  舌と舌が絡まる。逃げようとしても、それすらも相手の計算の内で絶え間ない小波のような熱が体に湧き上がる。
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