第2章 

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 何かを思い出すように、男がシズの瞳を覗き込んでふっと笑った。 「案内してやろうか?」 「結構です」 「ここが何処か分からないのに? さっきの奴らと鉢合わせしても知らないぞ?」  言われてしまえば、確かに場所が……。かといってこの男と一緒に居るというのも、だがしかし。  いざとなったら実力行使で逃げればいいか。  シズはあっさりと判断を下した。 「それではお願いします」  非常に素直そうににこりと笑ってシズはお願いする。  色々思う所もあるのか、男は一瞬何かを思案するも、 「……素直だからまあいいか。まずは宿に案内だな?。お前、名前は?」 「知らない人に名前は教えてはいけませんと親に言われていますので」
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