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「おいおい、大丈夫か?たこちゃん」
「は?タコ?タコじゃありません!タエコです!」
「え?いや・・たえこちゃんって、言ったつもりだったけど・・。くくくっ、タコちゃんか・・いいねぇ。可愛いじゃん」
「可愛くないです!昔からタエコって名前のせいで大概タコって呼ばれるんですから!」
言いつつ、今、妙子って名前で呼んでくれたことが、嬉しくて、恥ずかしくて・・。思わず草むらに顔を埋めた。
「あ~タコちゃん?そこらへんユキの落し物が散乱してるけど・・・」
「ぎゃあ~!!」
雄叫びを上げながら、飛び跳ねた。で、思わずついた手の・・・。
「大丈夫?あ・・・・手の下に・・。ははっ、大丈夫。ほらユキ、草食動物だから!
排泄物ではあるけど、もともとは草だから~!!」
「うううううっ・・・」
「あ・・・まあ、そういうこともあるな・・。こっちで手、洗いなよ」
塚田先輩に促され、涙目のままハイジ壮の洗面台でごしごし手を洗った。
洗い終わったら、こっちにおいでと呼ばれた居間には、テーブルが置いてあって、横には小さなキッチンがついていた。
「ここは、共有スペースなんだけど、あいにく俺以外だれも住んでないんだよな・・。まあ、こんだけおんぼろだと、誰も住まないよな~・・・」
そう言いながら、冷蔵庫から麦茶をグラスにくむと、私の目の前に置いてくれた。
え?じゃ、じゃあ・・もしかして・・今、この家の中で二人っきり!?
心臓が飛び跳ねた。どうしよう・・心拍数あがりすぎて吐きそう・・。
心臓から口が飛び出しちゃう・・じゃない!!口から心臓が・・。
あ~そんなことはどうでもいい!
「なんか、茶菓子になるようなものあったっけかな~」
ごそごそ戸棚を開けている塚田先輩の後姿を見つめた。
どうしよう。いきなりだけど、告白しちゃおうか・・・。でも、いきなりすぎて引かれちゃうかな。
「あ・・先輩?」
「何?せんべいあったけど、食う?」
「あ・・いいえ。あ。・・・・いえ、た、たべ、ます・・・」
断った瞬間におなかがぎゅるるうう~って鳴って、恥ずかしくて俯いた。
「なんか、タコちゃん、漫画みたいだな~」
先輩は豪快に笑いながら、せんべいを山積みにしたお皿を置いた。
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