side スコット

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* 「えっっ!ほ、本当なのかい!?」 「……酷いな、スコット…… そんなに驚くようなことかい?」 「い、いや、そうじゃなくて…… ただ、その……」 懸命に取り繕ろうと焦れば焦る程、言葉は出て来ず…… 彼はそんな僕の様子に、声を忍ばせて笑った。 彼が怒ってないことがわかると、僕もなんだかこの状況がやけにおかしくなって来て、彼と同じように笑ってしまった。 彼は、なにもおかしなことを話したのではなかった。 「僕……好きな人が出来たんだ。」 それは、彼のような若い男性にはよくありがちな…ごく自然なことだと思う。 僕だって、今までに何人もの女性を好きになった。 だけど、彼は、初恋というものもまだ体験してはいなかった。 僕らが女性に強い興味を感じる思春期にも、彼は、誰も愛することなく…… 女性に限らず、彼は人間というものにほとんど関心を示さなかったのだ。 そんな彼の口から、『好きな人』なんて言葉を聞いたら、僕でなくてもきっと誰でも驚くと思う。 「それで……どんな人なんだい?」 僕は一番気になっていたことを彼に訊ねた。 「……それは秘密だよ。」 彼は、どこか無理したような笑みを浮かべてそう答えた。 「……何か、問題があるの?」 「問題…? そんなものは何もないよ。 僕は、その人のことを愛している。 その人も、僕のことを愛している。 ……ね?何の問題もないよね……」 その言葉から、僕は悟った。
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