鏡の中と外

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* 「アラステア!」 「スコット…まだいたのか……」 「さっきも言っただろう? まだ話は終わってない。」 アラステアは、曖昧な笑みを浮かべて俯いた。 「スコット…暫くここには来ないでほしい。」 「なぜだ?僕と話すのがいやなのか?」 「そうじゃないよ。 信用なんて出来ないかもしれないけど…あと一度だけ僕を信じてほしい。」 「何をするつもりだ?」 「それは言えないけど…でも、馬鹿な真似は絶対にしない。 少しの間だけ、僕の好きにさせてほしい。 どうか、お願いだ。」 スコットはすぐには返事が出来なかった。 アラステアが何事かを決意していることはわかるものの、それが何かはわからない。 そのことがスコットの胸を不安にさせた。 「スコット…僕のことが信じられない?」 「……そういうわけじゃない。 ただ、僕は……」 「お願いだ。 これ以上のわがままは言わない。 だから、今回だけ僕を信じて…」 真っ直ぐに見つめるアラステアの強い眼差しに、スコットは否定する事を諦めた。 「わかったよ。 ……でも、絶対に無茶な真似はしないと、今一度、誓ってくれ。」 「無茶なことは絶対にしない。」 アラステアの真摯な態度に、スコットは渋々ながらも頷いた。 「わかった。信じるよ。 明日からしばらくは、ここに来ない。 だから…もう少し詳しく教えてくれ。 今の君が置かれてる状況について…」 「あぁ……良いよ。」 アラステアは、淀みなく話し始めた。 鏡の中の世界のこと、レオナールのこと…知り得る限りの情報を包み隠さず、スコットに話して聞かせた。 「本当に大丈夫なのか? そいつは君に酷い事をしたりはしないのか?」 「大丈夫だよ。 最初は酷く感じの悪い奴だと思ったけど、意外と良い奴さ。 ……彼も寂しいんだと思うよ、きっと。」 「何を言っているんだ。 そいつは魔物なんだぞ。」 「……魔物だって人間だって寂しさに変わりなんてないさ。」 「でも……」 「さぁ、そろそろ戻ってくれ。 親戚達の事、よろしく頼んだよ。」 そう言うとアラステアは片手を振り、部屋を出て行った。
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