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どれだけ経ったのか、いつの間にか電話は切られていて、あたしの視界から仁の姿も消えていた。
それに気付いたときにはあたしの瞳には涙が一杯たまっていて、一気にそれが溢れ出してきた。
「もう、やだっ!」
そして少しでもこの場所から離れたくて、180度方向転換して一気に走り出した。
無我夢中で走ってたどり着いた場所は。
「あれ? ここって……」
いまだに止まらない涙を必死に拭いながら辺りを見渡すけれど、やっぱりここ、見たことがある。
頭の中の記憶のテープを巻き戻していると、一週間前に迷子になった場所に近い気がした。
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