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なんだかんだ(ししょーの黒い笑みに耐えたり毒舌に耐えたりなどなど)言って案内してくれる三人組は優しい人なんだろう。
(しかもさっき士って……知り合い?)
……わからない。
何せわたしには”10歳より前の記憶がない”のだ。
だから実質4年ぐらいしか生きている実感がなくて。
―――わたしの人生のほとんどはししょーだったから。
そんなししょーの知らないところがわたしには甘美でいて壊したくなる。
そんなわたしはなんて醜いんだろう。
「ていうか迎え組、確か総司と近藤さんだったんじゃ……?」
「馬鹿言えよ、ぱっつぁん。近藤さんは確か酒屋に酒を取りに行ったはずだぜ。」
「そうだったな。確かに平助の言うとおりだ。山南さんと一緒に『今日は士たちが来る』って張り切ってたからな。」
「平助も左之も記憶力はいいんだな。記憶力は。」
「俺からすれば平助も左之も新八も同じようなもんかと……。」
はははは、と容赦なくえぐるししょーは笑顔だったけど。
「ところでそこのちっこいの。士の弟か?」
「んなわけねえだろ、平助。あそこんちは一人っ子だ。」
「でもよ、おふくろさん方頑張ったかもしんねえよ?」
今度はどうやらわたしのようだ。
どうやらばれてないらしい。……女として複雑……。
でもししょーによるとここにしばらく滞在するらしくて、女だと道場に入れてもらえないらしい。
道場主の奥方様が大層厳しいのだ。
……それだけは避けたい。腕が鈍る。
「こいつは俺の弟子だよ。三馬鹿くん。」
にっこりと笑ってししょーはわたしの頭を撫でた。気持ちいい……。
「え?」「は?」「ん?」
「「「弟子ぃぃぃぃぃ!?」」」
思ったよりも反応があった。
そんなに珍しいか?……ししょーの友達の思考回路も不明だ。
類は友を呼ぶってか。
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