第二曲目 トンシャン娘、道場破りをする

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*** なんだかんだ(ししょーの黒い笑みに耐えたり毒舌に耐えたりなどなど)言って案内してくれる三人組は優しい人なんだろう。 (しかもさっき士って……知り合い?) ……わからない。 何せわたしには”10歳より前の記憶がない”のだ。 だから実質4年ぐらいしか生きている実感がなくて。 ―――わたしの人生のほとんどはししょーだったから。 そんなししょーの知らないところがわたしには甘美でいて壊したくなる。 そんなわたしはなんて醜いんだろう。 「ていうか迎え組、確か総司と近藤さんだったんじゃ……?」 「馬鹿言えよ、ぱっつぁん。近藤さんは確か酒屋に酒を取りに行ったはずだぜ。」 「そうだったな。確かに平助の言うとおりだ。山南さんと一緒に『今日は士たちが来る』って張り切ってたからな。」 「平助も左之も記憶力はいいんだな。記憶力は。」 「俺からすれば平助も左之も新八も同じようなもんかと……。」 はははは、と容赦なくえぐるししょーは笑顔だったけど。 「ところでそこのちっこいの。士の弟か?」 「んなわけねえだろ、平助。あそこんちは一人っ子だ。」 「でもよ、おふくろさん方頑張ったかもしんねえよ?」 今度はどうやらわたしのようだ。 どうやらばれてないらしい。……女として複雑……。 でもししょーによるとここにしばらく滞在するらしくて、女だと道場に入れてもらえないらしい。 道場主の奥方様が大層厳しいのだ。 ……それだけは避けたい。腕が鈍る。 「こいつは俺の弟子だよ。三馬鹿くん。」 にっこりと笑ってししょーはわたしの頭を撫でた。気持ちいい……。 「え?」「は?」「ん?」 「「「弟子ぃぃぃぃぃ!?」」」 思ったよりも反応があった。 そんなに珍しいか?……ししょーの友達の思考回路も不明だ。 類は友を呼ぶってか。
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