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しまった!!名前まで考えてなかった!!
『りん』は……ちょっと無理がありそうだ。
このままだと女ってばれるかもしれない。
それだけはだめだ!
キョロキョロと視線を這わしてると山南さんと視線がぶつかる。
そして彼の口がつむいだ。
「―――り、りょうまです。」
「うむ、リョウマ君。いい名前だ。これからしばらくよろしくだ!」
山南さんがどうして助けてくれたのかも、源さんが驚いたのも、ししょーのあんな表情の理由も。
まだ時間があるんだから段々解決していけばいい。
今日一日張りつめていた緊張の糸を緩めてわたしはここ最近一番の笑顔で大きく頷いたのだった。
***
「士君は知ってるだろうがリョウマ君とは初対面だからな。みんな簡単に自己紹介してくれ。」
ししょーと道場の人たちは軽く頷いた。
思わず緊張してしまうがちょっと目があった総司君が軽く手を振ってくれたのを見てちょっぴりほっとして軽く笑んだ。
「わたしはここの道場主である、近藤勇だ。家内がいるが…まあ明日紹介すればいいかな。気軽によろしくだ!」
そういってわたしにまたニカッと笑いかけた。
「わたしは山南敬介と申します。仙台から脱藩してきたんですよ。まあ・わからないことあったら聞いてくださいね。
またよろしくお願いします。」
そうか、妙に落ち着きあるかと思ったら藩士だったのか。でも脱藩するくらいだから……。
それに”また”?やはりこの人は何か知っているようだ。
「俺ぁ、土方歳三だ。てめぇとはよろしくする気はねぇ。よえぇ奴には興味ねえんだ。」
黒い着流しを乱しているこの美青年はどうやらわたしに喧嘩を売ってるらしい。
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