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……言っておくが道場破りといったのはししょーだし、追いかけまわしたのは総司君だ。
そんなこと言っても無駄なんだろうけど。
「はいはいそんなこと言ってると嫌われちゃいますよー。僕は沖田総司って言います。よろしくお願いしますね!」
ニコリとこちらも涼やかな笑みでなかなかに整った顔立ちだがいかんせんわたしはこの顔の裏を知っているので何とも言えない。
とりあえず笑みだけでも返す。
「俺は藤堂平助だ!よろしく!」
「俺は原田左之助。左之って呼んでくれ。そんでよ!お前刃物の味に興味あるか?
俺の腹はな「はいそこまで。俺は永倉新八。気軽にぱっつぁんでよろしくだ!」……。」
一番小さいまだ少年のあどけなさの残る平助君とちょっと暴走しちゃう左之さん、それを止める三人の中では一番大人な新八さん。
なかなかいい三人組なのかもしれない。
「最後はわたしかな。井上源三郎だ。源さんで構わないよ。」
先ほどはすまないねと目じりを下げて謝る姿はあの鬼の影がすっかり成りをひそめているようだった。
「……リョウマです。至らぬところもあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。」
ああ。うん。ええ。おお。
様々な声の様々な同意の声が気持ちよかった。
「ああ、そしてこいつは俺の弟子だ。」
ニヤリ。そんな効果音がつく笑みを浮かべたししょーの言葉に今度はみんなが今日三度目の叫び声をあげることになったのだった。
(というか三馬鹿、聞いてたよね。)
なんて突っ込みをいれられるほどわたしの神経は図太くなかったようだが。
***
あれから質問攻め(主に三馬鹿)にされたんだけど、旅路で疲れているだろうから話は明日にしようと近藤さんが言ってくれたのだった。
そのあと総司君の案内で(今回はちゃんと案内してくれた)とある一室に辿り着いたのだが。
「すいません、相部屋なんですけど……。」
総司君が困ったように言った。
「えっと…大丈夫ですけど…。だいたいお世話になる身ですし、ねぇししょー?」
だいたい”男同士”なんだから気にしなくてもいいだろうに。
ししょーは歯切れの悪い返事ばかりだし、総司君はちょっと笑ってる。……解せぬ。
彼らは、想定外だ、仕方ありませんねぇ、と言ってる間にわたしは瞼が完全に降りきってしまったようだ。
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