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翌日以降も洋館の見学会は大盛況だったらしいけれど、俺は生憎と都合がつかず、結局洋館に入れたのは最初の日だけだった。でも、それで充分だ。
あれ以来、何度洋館の側を通っても、窓にぶつかる小鳥の姿は見かけない。
あの女の子が何者で、小鳥にとってどんな存在だったのかは判らないけれど、あの日の様子から考えると、きっと、お互いがお互いにとってとても大切な存在だったのだろう。
その、大切な相手の側に行けないから、小鳥は窓にぶつかり続けていたのだ。
散歩の足を止め、洋館を見上げる。あの部屋の窓を見つめる。
チチチチ。
もうここにはいない筈の小鳥の声が聞こえた気がした。
小鳥と洋館…完
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