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僕と宇宙人。
僕のベッドの横で立っている胴長宇宙人は、目が丸く大きい。口は、御猪口で見ているとなんだか少しかわいいと想ってしまう。不思議な魅力を感じた。
『あの、何で僕の部屋に居るんですか?』
僕は、さっき見た夢と違って自分でも驚く程に冷静だった。
夢だと勝手に思っているせいかもしれない。そんな僕に宇宙人が答えた。
『いやー。あなたが逃げるから、追ってきたんですよー。逃げるのだけは、勘弁してくださいよー』
お喋り宇宙人の目が少しだけ垂れて見える。本当に困っていそうだった。
『な、なんで、逃げちゃダメなんですか…?』
『いや、何でって。ほら、よく言うじゃないですか。逃げちゃダメだって。宇宙人の間でも流行ってるんですよ。逃げちゃダメだって言葉が』
意味不明だった。
宇宙人の間では、逃げちゃダメだって言葉が流行っていることは、わかった。
けれど、なぜ流行っているのかがわからない。問題は、そこなんだろうかと自問自答してみたところで答えなんてでてくるはずもなかった。
『あの、なんで流行ってたか聞いても良いですか?』
宇宙人は、困った表情をして言った。
『そこは、掘り下げなくても良いでしょう。とりま違う話でもしましょうよ』
『とりま!?』
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