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僕は、半ば呆れて宇宙人の方を見た。
宇宙人は、僕のベッドに置いてある目覚まし時計に目をつけた。
『この時計。良いですね。ください』
『いや、あげませんから』
『え?そんなぁー』
この宇宙人は、泥棒なんだろうか。段々と宇宙人であることすら、疑わしくなってきた。
『なんで、その時計が欲しいんですか?』
『私と君の友情の証に』
いつの間にか宇宙人と友達になっていたことに気づいていなかった。
『いや、友達になった覚えがないんですけど。友達になりましたっけ?』
『じゃあ、友達になりましょう』
じゃあ、が余計だった。
それじゃあ、時計をもらうためにこの宇宙人は、僕と友達になるのか。本当に変わった宇宙人だと思った。
『安い友情ですね』
『友情に安いも高いもありませんよ』
カッコいいことを言う宇宙人だと思ったが、やっていることは格好が良いとは、言えない。ついでに見た目もカッコいいとは、言えない。僕の頭の中で合計すると格好が良くない。安い宇宙人になった。
『そ、そうですね。とりあえず、その時計をこっちに渡してもらっても良いですか?』
僕がそう言うと安い宇宙人は、後ろから、何かを取り出した。 安い宇宙人は、右手にへんてこな時計を持って話しはじめた。
『あなたが落としたのは、宇宙人が愛用している目覚まし時計ですか?』
『いや、違います。そもそも落としてません』
僕の言葉に耳を傾けない安い宇宙人は、僕の目の前で安いショーをし始めた。
安い宇宙人は、左手に僕の時計を持っていた。
『あなたが落としたのは、一般の人がよく使用している目覚まし時計ですか?さあ、どちらですか?』
僕の目覚まし時計を返すつもりのない安い宇宙人を僕は、黙って観ていることにした。
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