僕と宇宙人。

4/5
前へ
/7ページ
次へ
 何も答えない僕に宇宙人は、言った。 『何か言ってください。困ります』  宇宙人の目は、困ったように垂れている。ショーが終わっていたことにも驚いたが、僕の目の前にいる宇宙人は、僕とぶつぶつ交換をする気になっていることにも驚いた。 『いや、僕の方が困ります』  有無を言わせない宇宙人は、僕の手にへんてこな時計を手渡してから、言った。 『また、会えますからそんなに寂しがらないでください。照れます』  宇宙人は、そう言っておもむろに立ち上がった。  僕の愛用している目覚まし時計を小脇に抱えて『この時計は、貰っていきます。アッハッハッ!』と叫んでから、僕の部屋の窓を開けて飛び降りた。  泥棒気取りの宇宙人は、僕の心を盗んでいっただけで品物は、ちゃんとしたぶつぶつ交換だった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加