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何も答えない僕に宇宙人は、言った。
『何か言ってください。困ります』
宇宙人の目は、困ったように垂れている。ショーが終わっていたことにも驚いたが、僕の目の前にいる宇宙人は、僕とぶつぶつ交換をする気になっていることにも驚いた。
『いや、僕の方が困ります』
有無を言わせない宇宙人は、僕の手にへんてこな時計を手渡してから、言った。
『また、会えますからそんなに寂しがらないでください。照れます』
宇宙人は、そう言っておもむろに立ち上がった。
僕の愛用している目覚まし時計を小脇に抱えて『この時計は、貰っていきます。アッハッハッ!』と叫んでから、僕の部屋の窓を開けて飛び降りた。
泥棒気取りの宇宙人は、僕の心を盗んでいっただけで品物は、ちゃんとしたぶつぶつ交換だった。
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