意外なひとこと(関西口語編)

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駆け出すようにして、三宅君のとこに急いだ。 近いんやけど遠い、三宅君との距離。 やっと、やっと三宅君に届くんやな、うちの気持ち。 うちの気持ちを受け取ってーな! そんで、 うちにも三宅君の気持ちをきかせてーな。 ああ!なんでこんなに遠いん。 うちははじれったくて、しょーがなかってん! ほんで、 やっと、 やっと、 彼にあと一歩のところまでたどりついてん。 うちは深呼吸して、 (落着けや、落ち着け、ゆっくりやで…) ちょびっとだけ、落ち着いてん。 「あのなぁ、三宅君…これ、受け取って欲しいねん」 うちは震えながら、 三宅君にうちが書いたラブレター、差し出してん。 「ありがとうな、でも、今、誰もおれへんから、 言葉で伝えてくれへんかな?」 (あぁぁぁぁぁぁー、  いえるわけあれへんやんっーーーーーー!) めっちゃドキドキしてる。 自然に、胸を左手で押さえとってん。 三宅君が、 「実はな、オレ、好きな人おんねん」 (がーーーーーーーーんっ!  うっぉっぉぉおぉぉぉぉーー! それって、もしかして!  もしかして!もしかして!  サヤカなんーーーーーーーーー?!) うちの今のこころイメージは、 ムンクの「叫び」のようになっとってん。 三宅祐吾が、なんかいうとるけど、 (おぉぉぉぉーゆうごぉーーー  だ・れ・が・すきやねんんんんんーー!) ぜんぜん聞こえへん。 (あぁ、耳、ふさいどったわ) 両手を離したら、彼の声が聞こえてん。 「・・・・・やねん」 (やねんって、なんやねんんんんんーー!!) 肝心なとこ、全っ!然っ! 聞こえへんかったわ!! (アホ、うち、アホッ!) 「聞こえへんかったん?」 うちはたぶん、真っ赤になっとったんちゃうか? 口、開けられへんかってん。 ほんでな、 こくん、と、うなだれるように、 首を縦に振ってん。 「オレ、結城愛里が好きやねん」 (えぇーーーーーーー  それって、だれやねんーーーーー?  って、  うちぃーーーーーーーーー?!!!) めっちゃドキドキしとって、めっちゃ脱力感。 まさか、まさか、まさかのまさか、やった。 もう、なんも考えられへん。 「愛里が好きやねん」 でも、 祐吾のメッセージはうちに届いたよ。 もう、 このまんま、時間が止まっとってほしい。 ふたりだけの時間が止まっとったかように、 クラスのみんなが、教室に入ってきてん。
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