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「あーっ!」
おもむろに立ち上がりチームメイトを指差して抗議の声をあげる真央の姿を上村はぽかんとした表情で見つめていた。
きゃーっという女子集団の甲高い声が段々遠くなっていく。
「もうっ・・もう・・恥ずかしい」
また上村の隣にストンと腰を下ろした真央の表情は首から上は真っ赤に染まっていた。
「・・・ごめん」
「いえ、上村さんに謝ってもらう事ないです。うちら男子から敬遠される超体育会系女子の集まりなんで、珍しくて面白がられているだけなんです」
火照る顔を手で扇ぎながら真央は上村の顔を見た。
「でも、いいんですか?」
「何が?」
「いや・・大学生から見たら高校生なんてガキでしょ。私とても・・か、彼女・・なんて似合わないというか、合ってないと思うんですけど」
「そんなことない」
いきなり上村の口調が強くなって真央の肩がびくんと震えた。
「大学生って言ったって真央ちゃんと二才しか違わない。社会人なら分かるけど、俺らも同じ学生だよ。なってみたら全然変わってないなぁって思う」
「そうかなぁ・・・」
「そうだよ」
何となく納得がいかない表情を浮かべながら真央が手にしていたスマホをバッグの中に仕舞おうとすると、上村があっと短く声をあげた。
「何ですか?」
「え、いやあの・・、もしよかったらアドレスを交換できないかなぁと思って」
声には出さなかったが、ポケットから取り出された上村のスマホを見つめながら真央は内心飛び上がらんばかりに喜んだ。
これでもう会えなくてヤキモキさせられる事もなくなる、そう思うと赤外線送信する手が震えた。
「これでお互い潟で練習する日がわかりますね」
「うん・・でも俺、あんまりマメにメールする方じゃないかも。もっぱらオンゲに使ってるから」
「オンゲ?」
知らない単語に真央は首を傾げた。
「オンラインゲームの事。女の子はやらないの?」
「ああ・・ゲームの事なんですね。んー・・あんまりしないかな。部活してるとなかなか時間ないし、家帰っても疲れてすぐに寝てしまうんですよ」
「そうなの?」
「はい」
「じゃあレスが遅いなんて怒られる心配ないわけだ、俺」
「上村さん、遅いんですか」
「遅いほうらしい。マネージャーによく怒られる」
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