Re:birth

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「わたしには、あの場所で笑う価値なんてないよ……」 こんなことになるんだったら。 あの日、加瀬をサッカーの試合観戦に誘わなければ良かった。 信号の点滅中に横断しなければ良かった。 あの車が急いでいなければ良かった。 庇ってもらわなければ良かった。 そしたら、加瀬は今も───。 「価値なんて、西宮が決めることじゃねえだろ」 周りが決めんだよ、と乱暴な口振りで加瀬が言う。 「俺は西宮がいてくれて良かった。アイツらもそう言ってる」 「………」 「早く飛ばした紙取りに行って、今日まで部活休んだことくらい謝って来い」 加瀬が再びグラウンドを見下ろす。 ───やっぱり、加瀬は。 泣きたくなるくらい優しいね。 今なら言えるのかもしれない。 今日まで伝えられなかったこと。 今なら、きっと。
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