信頼

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◇ 講義を受けながらも、あたしの脳内にはさっきの仁の不機嫌な表情が貼り付いていて。 あの顔を思い出すと、あたしがどれだけ「何もなかった」と言ったとしても信じてもらえないような気がしてきた。 だからって、さっきは咄嗟に嘘をつくなんてこともできなかった。 どうしよう。 このままじゃほんとに「別れよう」と言われてしまうかもしれない。 そんなことを考えていると、無意識に何度も溜め息を吐いていて。 「ちょっと彩葉、どうしたのよ。めちゃくちゃどんよりしてるよ」 隣に座る凛が、こそこそと話しかけてきた。 その表情はとても心配してくれているなと感じるもので。 そんな凛につい甘えてしまった。
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