416人が本棚に入れています
本棚に追加
この日はずっとスマホが鳴りっぱなしだった。
全て仁からの着信。
留守電にメッセージが入ることはなかったけれど、メールには色々書いてあった。
屋上で話していたときの感じだと、絶対にアパートまで追い掛けてくると思っていた。
でも押し掛けてこないのは、今日はほんとにバイトがあるかららしい。
メールにはそう書いてあった。
だけど仁は合鍵を持っているし、終わったらここへ来るんじゃないかと思ったら急に怖くなって。
慌ててバッグを掴んでアパートを飛び出した。
だからといってどこへ行くと決めているわけではない。
でもこの瞬間にあたしの脳内に浮かんできた人は、今あたしが唯一安らげる場所である、あの人だけだった。
最初のコメントを投稿しよう!