繋がり

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この日はずっとスマホが鳴りっぱなしだった。 全て仁からの着信。 留守電にメッセージが入ることはなかったけれど、メールには色々書いてあった。 屋上で話していたときの感じだと、絶対にアパートまで追い掛けてくると思っていた。 でも押し掛けてこないのは、今日はほんとにバイトがあるかららしい。 メールにはそう書いてあった。 だけど仁は合鍵を持っているし、終わったらここへ来るんじゃないかと思ったら急に怖くなって。 慌ててバッグを掴んでアパートを飛び出した。 だからといってどこへ行くと決めているわけではない。 でもこの瞬間にあたしの脳内に浮かんできた人は、今あたしが唯一安らげる場所である、あの人だけだった。
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