繋がり

29/38
416人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
◇ 「兄弟だったんですね」 静かになった空間で、まだ残っていたオレンジジュースを飲みながら、カウンターの中で開店の準備をしている凪さんに問い掛ける。 「ん?」 でも聞き取れなかったのか、あたしに視線を合わせて首を傾げた。 「凪さんと仁って、兄弟だったんですね」 もう一度そう言うと、ああ、と小さく呟くように言ってから、眉を下げながら口を開いた。 「黙っていてごめんな」 「いえ、名字も違うから全然気づかなくて」 「ああ、そうだよな」 仁の名字は『河合』で、凪さんは『本郷』。 もし名字が同じだったら気づいたのかもしれないのに。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!