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◇
「兄弟だったんですね」
静かになった空間で、まだ残っていたオレンジジュースを飲みながら、カウンターの中で開店の準備をしている凪さんに問い掛ける。
「ん?」
でも聞き取れなかったのか、あたしに視線を合わせて首を傾げた。
「凪さんと仁って、兄弟だったんですね」
もう一度そう言うと、ああ、と小さく呟くように言ってから、眉を下げながら口を開いた。
「黙っていてごめんな」
「いえ、名字も違うから全然気づかなくて」
「ああ、そうだよな」
仁の名字は『河合』で、凪さんは『本郷』。
もし名字が同じだったら気づいたのかもしれないのに。
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