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そこである事に魔王は気づいた。
そう、つまり自分が勇者を襲えば襲われずに済むのではないかと!
盲点だった。
「って、魔王様聞いてますか!」
「う、うむ、聞いている」
「聞いてない、これは聞いてない。……まあいいや。明日には決着が着く事だし」
リオが仕方ないというように言うのをやめた。
明日魔王が貞操を奪われるという意味で、全ては解決するという事だろう。
解決してたまるかと魔王は思った。
そのために今はちょっと近場を散策するのが必要だ。なので、
「……我は少し、そこら辺でキノコや食べられる草を見てきても良いか?」
あることを思いつく。時間があるかは分からないが試す価値があるだろう。と、リオが、
「見える範囲にしてくださいよ。あと、人の食べられるものであればなおよしです」
とかなんとか。それが魔王には聞き捨てならなかった。
「む、我をなんだと思っている。一応年齢は137歳だ。お前達よりもずっと長生きして、知識も豊富にあるのだぞ!」
年長者としてのプライドも魔王にはある。
なのでそんな子供のような扱いをされるのは、我慢ならない。が、
「え、そんなに年寄りなんですか!」
「年寄りではない! 人の成長で言うと6歳が我々の1歳程度に当たる! そもそも高位の魔族は外見がある一定の年齢に達するとそれ以上年をとらないのだ! 今の我は、人では23歳程度だ!」
「すみません魔王様。当代魔王様の年齢なんて、誰も知らないですからね」
クリフがとんでもない事を口にした。
「……何故。一応魔王だぞ。我は」
魔王としての威厳とか、その他諸々のこう、魔王様っぽいようなものは?
「んー、先代魔王様は人ともちょくちょく侵攻したりと色々あったのですが、当代魔王様である貴方は先代ほど何かをしていないじゃないですか」
「……それは否定しないが」
「要するに影が薄いんです」
面と向って言われるとその台詞は結構こたえた。
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