609人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
*
“黒虎”の総長交代とともに、一斉に世代交代が行われた。
それは皇輝の代が高校卒業というタイミングでもあった。
「だーって俺、これからお勉強、忙しーから!」
そう言って、光輝よりはやや大人びた表情でニッと笑ったのは皇輝だ。
勉強というのは人それぞれで、文字通り学業の方を仕方なしにやり始めるヤツから、これから働き出す職場での仕事を覚えるという勉強まで様々だ。
皇輝はというと、一之瀬の実家の後を継ぐための準備に入った。
武士も皇輝と共に引退し、もともと得意だった電子工学の方へと進んだ。
「くくくっ、随分すっきりしたな?」
「あー、トラちゃーん」
黒虎が集まる倉庫の入り口から入ってきた大虎は、人数の少なくなった周りを見渡すと肩を揺らした。
「あ、大虎さん、お疲れっす!」
下のヤツらが一斉に頭を下げる中すたすた歩きながらため息を吐き、苦笑を洩らす。
「俺はここの人間じゃねーんだがな?」
「ははっ、まーまー。こうしてウチの中に入ってこれるのはトラちゃんだけなんだし」
光輝は目の前に立った大虎に二カッと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!