第1章

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「やっべぇ、まじ遅刻だ!うん!!」 「んたくイタチてめぇがいちいち団子なんか買ってるからだろーが!!」 「弟の分だ、お前に言われる筋合いはない」 「筋合い…?なんだそれ?」 「…」 「お前いま俺を、こいつ馬鹿だなって目で見ただろ!?やんのかゴラァ!?」 「知らん」 ブォー、パーッ!! 「…?」 通りすがりにデイダラの耳に興味をそそる音がする。 「お前どんだけおと、あれ、デイダラちゃんパン買いにいかねぇのか?」 デイダラの足は止まっていた。 「あー…ぅん、先行ってて、オイラ後で行く、うん」 「おう、じゃあな」 そういうとデイダラは音のする方へ歩いて行く。あの風船が弾けるように広がる音。デイダラの心はあの時感じたときめきのような、ぴんとくる感情がずっと離れないで鼓動を打つ。 よく聞くとそれは音楽だった。オーケストラのような大迫力だ。なんの曲か分からないが、デイダラはその曲に魅入られていった。すると突然音楽が止まった。 「…じゃ、曲はここまで。今日練習したところ明日の朝練までに弾けるようにしておけ」 「「「はい!」」」 すると突然盗み聞きしていたドアがバンと開き、中から人がわさわさ出てきた。デイダラは人込みに押されドアの後ろに隠れた。やがて人込みが消えるとゆっくりと教室の中を覗き込む。そこには人はいない。見覚えのない教室だと思い、見上げて何室か確認するとそこは第一音楽室だった。 「第一音楽室…」 「おい」 するといないはずだった教室から人が出てきた。 「うぅわぁあ!!」 「っ、うっせぇな。邪魔だどけ」 「ゆゆゆ幽霊だぁぁ!!!」 「ぁあ``?」 デイダラは叫びまくる。周囲の目が注ぎ込む。 「誰が幽霊だ。ちゃんと見ろ人間だ」 「…え」 目の前には学生証。その人はここの3年の高校生だった。 「あ」 「あじゃねぇよ、わかったらどけ」 「あのさ!」 少年が振り向く。 「いまの、もしかして管弦楽部?」 「…あぁ」 「管弦楽部入ったら、あれ弾けるのか!?うん!!」 「…お前さ高1?」 「うん」 「だったら敬語使え。先輩は敬えって中学でも言われただろ」 「うん…俺、管弦楽部に入る!うん!」 デイダラは満面の笑みを浮かべ言った。 「…そうか」 少年はそういうと再び去ろうとした。 「お前さ!」
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