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「やっべぇ、まじ遅刻だ!うん!!」
「んたくイタチてめぇがいちいち団子なんか買ってるからだろーが!!」
「弟の分だ、お前に言われる筋合いはない」
「筋合い…?なんだそれ?」
「…」
「お前いま俺を、こいつ馬鹿だなって目で見ただろ!?やんのかゴラァ!?」
「知らん」
ブォー、パーッ!!
「…?」
通りすがりにデイダラの耳に興味をそそる音がする。
「お前どんだけおと、あれ、デイダラちゃんパン買いにいかねぇのか?」
デイダラの足は止まっていた。
「あー…ぅん、先行ってて、オイラ後で行く、うん」
「おう、じゃあな」
そういうとデイダラは音のする方へ歩いて行く。あの風船が弾けるように広がる音。デイダラの心はあの時感じたときめきのような、ぴんとくる感情がずっと離れないで鼓動を打つ。
よく聞くとそれは音楽だった。オーケストラのような大迫力だ。なんの曲か分からないが、デイダラはその曲に魅入られていった。すると突然音楽が止まった。
「…じゃ、曲はここまで。今日練習したところ明日の朝練までに弾けるようにしておけ」
「「「はい!」」」
すると突然盗み聞きしていたドアがバンと開き、中から人がわさわさ出てきた。デイダラは人込みに押されドアの後ろに隠れた。やがて人込みが消えるとゆっくりと教室の中を覗き込む。そこには人はいない。見覚えのない教室だと思い、見上げて何室か確認するとそこは第一音楽室だった。
「第一音楽室…」
「おい」
するといないはずだった教室から人が出てきた。
「うぅわぁあ!!」
「っ、うっせぇな。邪魔だどけ」
「ゆゆゆ幽霊だぁぁ!!!」
「ぁあ``?」
デイダラは叫びまくる。周囲の目が注ぎ込む。
「誰が幽霊だ。ちゃんと見ろ人間だ」
「…え」
目の前には学生証。その人はここの3年の高校生だった。
「あ」
「あじゃねぇよ、わかったらどけ」
「あのさ!」
少年が振り向く。
「いまの、もしかして管弦楽部?」
「…あぁ」
「管弦楽部入ったら、あれ弾けるのか!?うん!!」
「…お前さ高1?」
「うん」
「だったら敬語使え。先輩は敬えって中学でも言われただろ」
「うん…俺、管弦楽部に入る!うん!」
デイダラは満面の笑みを浮かべ言った。
「…そうか」
少年はそういうと再び去ろうとした。
「お前さ!」
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