俺、狙われてます

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『コウは傷を負って今、眠ってるの…そして歩さんは悪い妖怪に連れ去られて闇の神社にいるはず』 茜は水晶を掴みココに抱かれている歩の姿を光太に見せた。 『何だよこれ…どういうことだよ』 『まずいわね』 『何だよ』 『闇の神社の者と体を重ねると…』 『闇の者になる』 横腹をおさえながらコウが現れた。 『安静にしろと言ったでしょ』 『闇の者になるって、歩はもう戻ってこないってことか』 光太はコウを見た。 『心配するな、歩は俺が助ける、だからお前はここにいろ、わかったか』 『わかった、歩のことあんたに任せる』 『茜、すぐに銀の数珠を作れるか』 コウは痛みにこらえながら茜を見た。 『作れるわよ、部屋で待ってて』 『わかった』 『あんた傷が痛むんじゃないのか』 光太は痛みをこらえるコウの体を支えた。 『部屋に塗り薬がある』 『……』 光太はコウの体を支えながら狐像の部屋を出るとコウの部屋に行った。 水晶の前で正座で座ると茜は水晶に両手を向けながら銀の数珠を作り始めた。 光太はコウの横腹に巻き付けている包帯を外すと傷口に塗り薬を塗り始めた。 『妖怪ならこんな傷、魔力で治せないのか』 『俺はあいつらのようにはなりたくない、何でも魔力を使って手に入れる…あいつのようには…』 『あいつ?』 包帯を巻き終えた光太はコウを見た。 『ありがとう…少し眠るから茜が来たら起こしてくれ』 壁にもたれるとコウは目を閉じた。 光太は部屋を出て廊下を歩くと茜がいる部屋の前に止まりしゃがみこんだ。 数分後、銀の数珠を持って茜が部屋から出てきた。 『何をしてるの』 『あんたを待ってたんだ、それで出来たのか』 光太は立ち上がった。 『出来たわよ、コウを呼んでくれる』 『わかった』 光太は急いで部屋に行きコウに近づくと声をかけた。 『コウさん、銀の数珠が出来たって』 『やっと出来たか』 目を開け立ち上がるとコウは部屋を出て茜の元に行った。 『コウ、歩さんに銀の数珠を渡すのよ』 茜は銀の数珠を2個、差し出した。 数珠を受け取ったコウは自分の分の数珠を右手首にはめ、もう1個の数珠はポケットの中に入れた。 『茜、俺を運んでくれないか』 コウは茜を見た。 『良いわよ』 茜は水晶の力でコウを闇の神社に一瞬で移動させた。
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