俺、狙われてます

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闇の神社の裏庭に姿を現したコウは見つからないように神社の中に入り歩を探し始めた。 『コウ、どんなに気を隠していても俺にはわかる』 『…ブラッディ…』 廊下を歩いていたコウは足を止め振り返った。 『彼を迎えに来たのか』 『歩はどこにいる』 『ココの部屋で愛し合ってるんじゃないのか』 『……』 コウはブラッディに近づき殴り倒すと呆然と立っている祐実に目を向けた。 『歩には何もしないと言ったのに、ココに歩を襲わせたのか』 祐実は立ち上がるブラッディを睨んだ。 『闇の者と交われば歩と一緒に暮らせるんだぞ、祐実…一緒に暮らしたいだろ』 ブラッディは祐実の顎を掴んだ。 祐実はブラッディの手を払い除けコウに近づいた。 『歩を連れてきます、ここで待っててください』 祐実はその場を離れココの部屋に行った。 『祐実様』 『歩、コウさんという人が迎えに来たよ』 祐実は寝たまま泣いている歩に言った。 『コウさん…』 体を起こした歩は全裸のままベットからおりた。 『そんな格好で会うつもりか』 『……』 歩は涙を拭い銀のワンピースに着替え始めた。 『祐実様、俺は歩をコウに渡さない』 ココは歩を抱き寄せた。 歩はココを押し離し祐実に駆け寄った。 『行こう』 歩は祐実の手を掴み部屋を出て行った。 『こっち』 祐実は歩をコウのところに連れていった。 『コウさん!』 『歩!、こっちに来るんだ』 『お父さんも一緒に』 歩は祐実の手を掴み引っ張った。 『……』 『どうしたんだよ…』 動かない祐実に歩は何度も行こうよと腕を引っ張った。 『一緒には行けない』 『え…』 『俺はブラッディの妻になったんだ、歩の父親には戻れない…』 歩の手を離れさせると祐実はブラッディの側に寄った。 『せっかく会えたのに…また離れるなんて…嫌だよ…』 歩は涙を流した。 『早く連れていってください』 祐実は背を向け涙を堪えた。 『お父さん!』 『行くぞ!』 コウは歩の手を掴みその場から姿を消した。 『祐実』 ブラッディは涙を流している祐実を抱き締めた。 『1人にしてくれ』 祐実はブラッディから離れ部屋に行った。 『息子の危険を守るために好きでもない男の側にいることを選んだか』 ブラッディは笑みを浮かべた。
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