32人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
光太はコウの手を払い部屋を出て行った。
『光太…』
歩は落ち込んだ。
『茜、悪いけど2人きりにしてくれないか』
『光太君が気になるから様子を見てくる』
茜は部屋を出て行った。
コウは壁に近づき体育座りで座ると壁にもたれた。
『歩、側へ』
『……』
コウの側に近づき体育座りで座ると壁にもたれた。
『光太と何かあったのか』
『…別に何も…』
『嘘を言うな、何かあったから…悲しい顔をしてるんだろ』
『……』
歩はコウの顔を見つめながら涙が込み上げコウに抱きつきそのまま倒れた。
『何があったんだ』
コウは歩の背中を撫でた。
『本当の兄弟のように育ってきた光太に好きだって言われてキスをされた…俺、どうしたらいいかわからない…』
歩は涙を流しながら光太に抱きついた。
『まだ聞いてなかったなお前の気持ちを…』
『気持ち?』
歩は顔をあげコウを見つめた。
コウは歩の涙を手で拭いながら『もう一度、言うよ俺の妻になってくれないか、歩の気持ちを聞かせてくれ』と言った。
歩は体を起こしコウから離れると立ち上がった。
『…今は返事できません、お父さんを助けるまでは…返事できません…ごめんなさい』
歩は部屋を出て行った。
ー狐神社の門の前ー
『歩さんに告白をしたこと後悔してるの』
『後悔なんて…』
『なら何でそんな悲しい顔をしてるの』
『……』
茜に言われ光太はドキッとした。
『幼い頃から俺と歩はいつも一緒にいた、仲の良い兄弟のように…それがいつからか俺は歩をやらしい目で見るようになった…歩を抱きたい、キスをしたい…その欲望が…』
『もう、良いわ』
茜は光太の肩に触れ優しく微笑んだ。
『……』
『歩さんのお父さんを無事に助けたら、歩さんに気持ちを伝えて返事を聞きなさい』
『あなたの言う通りだ、今は歩のお父さんを無事に助けることを考えなくちゃ』
光太は茜に微笑んだ。
『元気になったみたいね、部屋に戻りましょうか』
茜と光太は門に背を向け歩き始めた。
その時、グレンが現れた。
『茜』
グレンは茜を呼び止めた。
茜と光太は振り返りグレンに目を向けた。
『グレン、どうしてここに』
『コウに話があってきたんだ』
グレンは狐像がある部屋に行きドアを開くと中に入った。
最初のコメントを投稿しよう!