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『祐実…すまない…』
『……』
背を向けていた祐実は涙を流しながら振り返りブラッディを見た。
『…祐実…』
『あなたに誘拐され怯えていた俺を優しく接してくれたあなたを俺は本気で好きになりかけてた、だけど今のあなたは最低だ』
『……』
祐実に最低と言われたその瞬間、ブラッディの心臓はドキッとなり苦しみ出した。
『ブラッディ?…大丈夫?』
祐実はブラッディの体に触れた。
『俺から…離れろ…』
ブラッディは祐実を突き飛ばし激しく苦しみ出した。
『ブラッディ…』
『うあああ…』
手首にはめていた闇の数珠が外れブラッディの体から闇妖怪が現れた。
ブラッディは気を失いうつ伏せで倒れた。
『……』
祐実は怯えながら闇妖怪を見た。
闇妖怪は全裸姿の祐実に近づいた。
『良い体だ、ブラッディが惚れるのもわかる』
『……』
闇妖怪に肌を触れられ祐実は目を閉じ我慢した。
闇妖怪は祐実を押し倒し暴れないように祐実の両手首を闇の鎖で縛った。
『恨むなら、いやらしい体をしている自分を恨め』
闇妖怪は祐実の体に触れながら体を重ねた。
『…嫌…やめ…て…』
祐実は涙を流しながら闇妖怪に抱かれた。
ー隣の部屋ー
目を覚ました歩はベットからおりドアに近づくと少しドアを開き廊下を見た。
『誰もいない…』
部屋を出た歩は隣の部屋の前で足を止めた。
歩はドアに耳をあて祐実の喘ぎ声を聞くとドアから離れた。
『……』
助けないとと思った歩はドアを開き中に入った。
『歩、逃げろ』
祐実は叫んだ。
『お前の息子か』
闇妖怪は祐実から離れ歩に近づいた。
『……』
『父親と同じ、美味しそうな体をしている』
闇妖怪が歩の頬に触れたその時、倒れていたブラッディが普通の剣で闇妖怪を刺した。
『このガキ…』
闇妖怪はブラッディを突き飛ばし剣を抜くと闇妖怪は消えていった。
祐実は呆然としている歩に声をかけた。
『歩…歩…』
『え…』
祐実の方に目を向けた歩は祐実に駆け寄り闇の鎖を外した。
『死んでると思ってた息子を抱き締めることが出来るなんて…』
『…お父さん…』
『…歩…』
祐実は涙を流しながら歩を抱き締めた。
ブラッディは優しい微笑みで祐実と歩を見つめた。
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