俺、狙われてます

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『良かったよ』 闇妖怪は気を失って眠っている祐実の頬に触れると唇にキスをし祐実から離れブラッディに近づいた。 『何か言いたそうだね』 闇妖怪はブラッディの口を塞いでいる闇を解放した。 『初めからこれが目的だったんだな…妖怪と交じり合った人間と交じり合い人間の姿になる』 『その通り…お前達のお陰でこの通り…お礼をしなくちゃな』 闇妖怪は動けないブラッディに闇の剣を向けた。 『……』 『心配するな、彼もすぐにお前の元にいくから』 『やめて!』 祐実は闇妖怪に近づき剣でブラッディに突き刺そうとしている闇妖怪を止めた。 『離せ』 闇妖怪は祐実を突き放し祐実は倒れた。 『祐実!』 もがきながらブラッディは叫んだ。 『ブラッディを先に始末しようと思ったがお前から先に始末してやる』 闇妖怪は倒れている祐実に近づき剣を向けた。 『やめろ…祐実に手を出すな…』 『……』 剣を祐実に突き刺そうとしたその時、祐実の体から光が放ち闇妖怪を吹き飛ばした。 闇妖怪は壁に当り気を失うと倒れた。 その瞬間、壁に固定されていたブラッディは解放され自由になった。 『祐実!』 ブラッディは祐実に近づき体を支えながら上半身を起こした。 『……』 『祐実…しっかりしろ…祐実…』 『……』 暫くして光は治まり祐実は目を覚ました。 『ブラッディ…』 『倒れているうちに逃げよう』 ブラッディと祐実は手を繋ぎ部屋を出ると隣の部屋に行った。 『誰もいない…』 『ブラッディ、銀の数珠…』 数珠に近づき掴んだその時、祐実とブラッディはその場から消えコウ達の前に現れた。 『お父さん、服だけは着てよ』 『服…あ!…』 全裸姿に祐実は頬を赤らめブラッディの後ろに隠れた。 『急いできたからな』 『急いでって、何かあったのか』 コウが言った。 『歩さんと光太さん、私の部屋に巫女の服があるから連れていってあげて』 茜は歩と光太に言った。 『わかりました…お父さん…』 歩と光太は祐実を連れて部屋を出ていった。 『何があったのか話して』 茜とコウとグレンと天狐はブラッディを見つめた。 『俺と祐実のせいで闇妖怪が人間の姿に変わった』 ブラッディは悲しげな顔をしながら言った。
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