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『コウ?』
巫女は心配そうな顔でコウを見つめた。
『茜…』
『彼の身が危ないんですね』
『ココの奴が歩を狙ってる』
『これを彼に渡して』
茜は水晶の数珠を差し出した。
コウは数珠を受け取り『これは?』と言った。
『水晶の数珠を身に付けておけば悪い妖怪から身を守ることができます、コウが側にいれないときその数珠が役に立ちます』
『ありがとう茜』
コウはその場から消えていった。
その頃、歩と光太は先輩達と一緒にテニスの練習をしていた。
それから暫くして歩はテニスコートに入ってくる人ではない妖怪とココに目を向けた。
ボールを打ってこない歩に『何をしてんだよ』と光太が言った。
松田部長は歩に近づき『どうした』と言った。
『部長には見えないんですか』
『何が』
『あれです』
歩は指をさした。
松田部長は振り返り『部員達しかいないが』と言った。
『俺しか見えないのか…』
歩は他の部員達に目を向けると部員達は驚いていた。
『何で俺だけ…』
『コウと出会ったから見えるようになったんだよ』
歩の側に近づいたココは笑みを浮かべた。
『コウって誰だよ』
『美味しそうな匂いだ』
ココは歩の顎を掴んだ。
『やめろ』
歩はココの手を払い少し離れた。
『急にどうしたんだ』
『歩…』
光太は歩に近づき震えている体に触れた。
『歩…大丈夫か…』
『俺が指を鳴らせばここにいる人たちは見えるよ、どうする?』
『俺に聞くな、それに近寄ってくるな』
歩は一歩ずつココから離れた。
ココは足を止め指を鳴らした。
その時、松田部長と光太と他の部員達は人ではない妖怪とココの姿が見えた。
部員達はテニスコートから逃げ出した。
『俺は彼に用があるから他の人間はお前にやるよ』
『わかった』
人ではない妖怪は教室に走っていった。
『歩、俺と一緒に来てもらおうか』
『歩、逃げろ』
松田部長はココの体を掴み歩の側に行かせないようにした。
『歩』
光太は歩の腕を掴み走ると門に向かった。
『邪魔だ』
ココは松田部長の唇にキスをし気を奪った。
松田部長は力が抜け倒れた。
『逃がさないよ』
ココは魔力の力で学校全体に結界を張った。
門の前についた歩と光太は門から出ようとしたその時、結界に跳ね返され倒れた。
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